砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「このまま、生きることが許されるのならば、この命を捧げてアベルの為に、生きます」
カインは、油の缶を床に置いた。
いつしか雨は止んでいた。
「体が大丈夫なら戻ろうか、カイン。辛ければもうしばらくここに居てもいい」
「体?何ともありません。仕事残っていますし、戻ります」
嘘だった。アベルを受け入れた下腹部はどんよりと重く、馬に乗ることは辛いように思えた。
「全く、相変わらず可愛げのない奴だ。まぁ、いい。明日からは城へ来てくれ。忙しくなるぞ」
「覚悟の上です」
アベルの差し出した手のひらに自分の手のひらを重ねる。指と指を絡ませるようにつなげばアベルはいつもの笑顔を見せてくれる。カインの頬にも血の気が戻っていた。
二人は身支度を整え、古城を出る。
空には大きな虹がかかっていた。
カインの胸は軽かった。大切な人にもう何一つ偽りなく接していける喜び。
馬上の振動で体はきしむように痛かったけれど、それも、己の罪の重さを思えば、罰にすらならない。
一方のアベルも、熱い思いが胸に込み上げていた。
大切な人を全力で守っていこうという使命感と、秘密を二人で分け合うという甘美な背徳感に、気持ちが昂っていた。
カインは、油の缶を床に置いた。
いつしか雨は止んでいた。
「体が大丈夫なら戻ろうか、カイン。辛ければもうしばらくここに居てもいい」
「体?何ともありません。仕事残っていますし、戻ります」
嘘だった。アベルを受け入れた下腹部はどんよりと重く、馬に乗ることは辛いように思えた。
「全く、相変わらず可愛げのない奴だ。まぁ、いい。明日からは城へ来てくれ。忙しくなるぞ」
「覚悟の上です」
アベルの差し出した手のひらに自分の手のひらを重ねる。指と指を絡ませるようにつなげばアベルはいつもの笑顔を見せてくれる。カインの頬にも血の気が戻っていた。
二人は身支度を整え、古城を出る。
空には大きな虹がかかっていた。
カインの胸は軽かった。大切な人にもう何一つ偽りなく接していける喜び。
馬上の振動で体はきしむように痛かったけれど、それも、己の罪の重さを思えば、罰にすらならない。
一方のアベルも、熱い思いが胸に込み上げていた。
大切な人を全力で守っていこうという使命感と、秘密を二人で分け合うという甘美な背徳感に、気持ちが昂っていた。