砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
「今、お前が死ねば、いずれにしろオルディン家は終わりだ。
俺にとっては、カインはカインだ。男でも女でも構わない。俺にはカインが必要なんだ」

「無理です。
私はこれ以上背も伸びません。声も低くならないし、体つきだって男のものとは違う。
たった今、アベルが男と女の体の違いを教えてくださったじゃないですか。
だから、もう、無理なのだと実感してしまいました。
このままでは、遅かれ早かれ露見してしまいます。
私は、オルディン家の誇りを汚したくない」

「人前では極力話をしなければいい。俺に隠れるように今まで通り後ろにいればいい。華奢な男なんて貴族にはごまんといる。
大丈夫だから、命を粗末にするな。
カイン。
お前の生きる価値は、ここにある。俺に仕えろ。捨てるくらいなら俺に尽くせ。俺にはお前が必要だから。
代わりに、俺は全力でお前を守る」

生きる価値。アベルのストレートな言葉がカインの胸を貫く。
何もせず、ただ生きているだけでいいという父の言葉の呪縛を打ち破る。



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