幸せにしたいのは君だけ
あっさり言われて、グッと返答に窮する。

そのとおりだ。

仕掛けたのは私。


それでも本当は心の奥底でもしかしたら、気にしてくれているかと考えた。

ほんの少し期待していた。

自分から拒絶しておきながらも、毎日スマートフォンの画面を見つめていた。


……噂は本当だった。

“去る者は追わず来る者は拒まず”


結局、私はその程度の存在でしかなかった。

この人の過去の恋人たちと同じ。

嫉妬しているわけじゃない。

過去の恋人たちと優劣を競いたいわけじゃない。


この人の本質を、私では変えられなかったという事実を、突きつけられた気がした。


「……私はもう少し経ったら、あなたに連絡を取ろうと思っていたよ」


この状況で言うのは卑怯かもしれないし、そもそも信じてもらえないだろう。

その場しのぎのように思えてしまうだろう。


でも実際に考えていた。

話をしようと。

自分の気持ちを不安をすべて打ち明けようと。


だけど、その前に少しでも自信がほしかった。

この人に想われているという自信が。


「もう少しって……いつ?」

「それは……はっきり言えないけど」

「だったら意味がないだろ。佳奈はそうやってすぐに問題を先送りにしたり、誤魔化す」

「誤魔化したりなんかしない」

「でもすぐに本心を隠すだろ」


端的に言われて、ハッと息を呑む。

綺麗な面差しが悲しそうに歪む。
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