幸せにしたいのは君だけ
「特別な場所で畏まってプロポーズするのも考えたんだ。夜景の見えるオシャレなレストランとか、ね。でもそれはなんだか俺たちらしくない気がしたんだ。始まりの場所は同じほうがいいだろ?」

「始まり?」

「恋人の始まりと夫婦の始まり」


甘い言葉に胸が震えた。


「じゃあとりあえず、明日は佳奈のご実家に伺うよ。大丈夫、きちんとご連絡はしておいたから」

「い、いつの間に……」


そもそもどうして両親の連絡先を知ってるの!?


「この間、佳奈の帰宅が遅くなった時にお会いしただろ?」


……そうだった。

少し前にふたりで外出した時、車が渋滞して帰りが遅くなった。

私を送り届けてくれた彼は、丁寧に両親に詫びてくれたのだ。

改めて交際と同棲の挨拶もしたいから、と言って。


その時の両親の驚きはすさまじかった。

圭太さんの洗練された物腰となによりも美麗な容貌に圧倒されていた。

言われてみれば、その時に確か母と連絡先を交換していた気がする……。


「で、でも明日って……」

「お母さんは賛成してくださったよ」

「だからってなんでそんないきなり……!」


突然すぎて心の準備ができない。


なんで今日プロポーズで、いきなり明日が両親への挨拶なの?

早すぎる展開に頭がついていかない。


お母さんも知ってたなら言ってくれてもいいのに……!
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