幸せにしたいのは君だけ
嬉しすぎる申し出に心が震えて、涙があふれだす。


「私で、いいの……?」

「佳奈がいい。佳奈だけがほしいんだ。取り繕うのも誤魔化しも苦手で、器用そうに見えて不器用で。心が傷だらけになっても真っ直ぐに進んでいく芯の強さをもつ佳奈を、俺のすべてで守りたい」


どうして、この人はこんなにも私を知っているのだろう。

甘やかそうとしてくれるのだろう。


「俺とこれから先の人生をともに歩いてもらえませんか?」


真摯な口調に胸が詰まる。

時間が止まった気がした。

――早く、返事をしなくちゃ。

そう思うのにうまく声が出ない。

なかなか返答しない私に、目の前の彼が不安そうな表情を浮かべる。


「わ、私でよければ……喜んで……! よろしくお願いします」


やっとの思いで、嗚咽混じりの返事をする。

涙が止まらない。

彼が大きな息を吐いて、強く私を両腕で抱きしめた。


「ありがとう。一緒に幸せになろう」


温かい胸の奥で何度も頷いた。

首元のネックレスがきらりと輝いていた。


「佳奈と出会ったこの場所でプロポーズしたいと思ってたんだ。ここがすべての始まりだから。でもさすがに店内は注目されてしまうかと思ってやめたんだ」


彼が私を抱きしめたまま、少し照れくさそうに言う。

私がここを大事に思う気持ちと同じ思いを向けてくれているのが嬉しかった。
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