幸せにしたいのは君だけ
「……なんで今日、私が合コンだって知ってるんですか?」


彼のセリフを誤魔化すように話題を変える。


「今日、九重に来てた君の親友が教えてくれたんだよ」

「千埜と知り合いなんですか?」


そんなはずはない。


「いや、今日会社で初めて会った。ああでも、あの焼き鳥屋で見かけたから、正式には二回目か。プロジェクトの話が一段落して雑談をしている時に、彼女の先輩が、今日紺野さんが合コンなんだって話してくれたんだよ」


そうだった……千埜はそういう話を周囲に隠さないタイプだった。


「誰と参加するのか尋ねたら、君の名前が出てきたから」


親友に今後は絶対に口止めしようと、心の中で固く決意する。


「最近決めたんだ。今度は本気で恋をしようって」


ふわりと相好を崩して、私の目を覗き込む。

その真剣な眼差しに吸い込まれそうになる。

この人は、悔しいくらいに自分の魅力をよくわかっている。


「……頑張ってください」


彼から発せられる魅力に引き寄せられそうになる心を、必死で踏み留めて、返答する。


「ハハッ、さすが澪の自慢の後輩だな。一筋縄ではいかない。でもそんなところが面白い」

「……なにがおかしいんですか?」


豪快に噴き出す彼を再び睨みつける。
< 42 / 210 >

この作品をシェア

pagetop