紡ぐべき糸

「ひどいなあ。でも 頭は ガンガンしてないですよ。」

と言って 啓子は 顔を煽いだ。


ゲラゲラ笑う 聡の笑顔は やっぱり 少し寂しそうで。

そんな聡を見ると 啓子も 切なくなってしまう。
 

「せっかく 最近 横山さん セクシーになったって 褒めようと思ったのに。」

膨れた口調で 言う啓子。


聡は 驚いた顔で 一瞬 絶句した後で また 声を上げて笑う。
 

「ちょっと 林さん。からかわないでよ。だいたい セクシーの意味 解っているの。」

と聡は 楽しそうに言う。
 

啓子と話す時間が 少しでも 聡の気を 紛らしてくれればいい。



くだらない話しに笑い 気付いたら 眠くなっているように。



眠れない夜なんて 聡には 似合わないから。

 

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