紡ぐべき糸

6


気をつけては いたけれど 聡は 子供ができてもいいと 思っていた。


啓子に 夢中になっていて 失敗したかもしれないと 思う時もあったから。
 

「あのね 聡。私 今月の生理が 遅れているの。」


少し躊躇いがちに 啓子が言った時 聡は “ ヤッター ” と思っていた。
 

「本当?確かめてみた?」


弾む声で 聞き返す聡。

啓子は 小さく首を振る。
 

「すぐ 確かめて。できていたら 全部 急がないと。」

聡が嬉しそうに言うと
 

「産んでいいの。」

と啓子は聞いた。
 

「当たり前でしょう。ケイは嫌なの。」

聡は啓子に聞く。

啓子は もう一度 首を振り 

「聡 嫌かと思って。順番が逆だから。」

怖々答える啓子。
 

「そんな訳 ないでしょう。俺も パパか。」

と笑う聡。



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