紡ぐべき糸

16


「美咲、もう 新潟には 帰らないの?」

聡は 思い切って 美咲に聞く。
 

「うーん。帰る理由 ないからなあ。」

と美咲は 笑って答えた。
 

「俺じゃ 駄目かな?帰る理由に ならないかな?」

聡の言葉に 美咲は
 

「えっ?」と言って聡を見る。


「美咲。帰って来て。俺と結婚しよう。」

聡は 一気に言う。

美咲は 驚いた顔で 聡を見つめる。
 

「本気で言っているの?」

一瞬 沈黙した後で 美咲は 聡に聞く。
 

「当たり前だろう。」

聡は 笑って答える。
 

「私達 付き合ってもいないのよ。」

美咲は 真剣な目で 聡を見て言う。
 

「でもお互い 良く知っているじゃない。」

聡も真剣に答える。
 

「それは 子供の頃でしょう。横山君 今の私のこと 何も知らないでしょう。」

美咲の声は だんだん大きくなってくる。



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