紡ぐべき糸

まるで 子供を諭すように言って 美咲は 急に笑いだす。
 

「どうしたの?」

美咲の反応が 不安になって 聡が聞くと、
 

「だって私 プロポーズしてもらって 怒っているから。」

と少し照れて 美咲は言う。
 

「本当。美咲 ひどいよ。」

聡も 一緒に笑ってしまう。そして、
 

「俺 成人式以来 美咲のこと 忘れられなくて。誰と付き合っても 違うんだ。美咲じゃないと駄目だって 昨日会って わかったから。」


聡は 正直な気持ちを 美咲に話した。


美咲といると 不思議なくらい 正直になれる。


弱い自分も 素直に見せられる。


向かい合って 食事をしていた聡は 美咲の隣に移動する。
 

「ありがとう。でも急過ぎて。少し考えさせて。」


美咲の 誠実な言葉に 聡は頷く。


美咲の肩を抱き寄せて、
 


「これから 付き合おうよ。俺 美咲に会いに来るから。ねっ。」


と言う。



美咲は 優しく微笑んで 聡の肩に もたれかかった。
 
 


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