紡ぐべき糸

二人で行った グアム旅行は 夢のような時間だった。


美咲の部屋で 過ごす時よりも もっと 自由に解放されて。


何にも 捉われずに ただ 欲望に身を任せる二人。
 

昼は ビーチで遊んで 夜は激しく抱き合う。



楽しい時間は 流れるように過ぎていく。


最後の夜 薄く日焼けした美咲は 


「横山君 ありがとう。一生の 思い出になったね。」

と聡の胸で言った。
 
「なんだよ。また いつでも来られるよ。」

と美咲の頭を 抱き寄せる聡。

美咲は 軽く首を振って、
 
「私 結婚できないって 言ったのに。でも今 すごく幸せで。ごめんね。」

と涙汲んで答えた。
 

「美咲は 俺の恋人だから。いいの。結婚なんか どうだって。」

聡が 優しく言うと、 美咲の目から 涙が一筋流れた。
 

「泣くなよ。俺も今 すごく幸せだよ。美咲と一緒にいるだけで いつも幸せだから。」

聡は そう言って そっと美咲に キスをする。

美咲は 甘い吐息で 聡を包んでくれた。
 


甘く淫らに 何度も満たし合い。

不思議な興奮に 美咲は 号泣しながら 果てていく。
 

「どうしたの。そんなに泣かないで。」


しゃくり上げる美咲を 胸に抱いて 二人は いつしか眠っていた。
 


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