恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
therapy2


(思ったより緊張する、かも…)

翌日。
車に乗って再びクリニックを訪れ、扉の前で一度軽く深呼吸をして中に入る。

精神科のクリニックにかかるのはこれが初めてだ。内科や外科と仕様は同じなんだろうけど…と心の中で呟きながら、受付に向かった。

──明日、何時に来れる?

──えっと…10時とか?

──わかった、じゃあ10時に待ってる。
…あ、別に予約はしなくて良いからな。

昨日、予約はしなくて良いと言われたから予約も何も自分ではしてこなかったんだけど、大丈夫だったかな。ふと内心でそう不安になった時。

「相澤」

受付に向かうところを、そう呼び止められた。

「あ、砂川君……え?」

すぐに砂川君の声だとわかり、声を掛けられた方を振り返り…思わずポカンとして目を丸くした。

白いシャツの上に羽織った薄いグレーのジャケットに、黒いパンツ。身長があってスタイルが良い砂川君にはそのシンプルなファッションが映えていた。

だが、どこからどうみても、白衣すら着ていない今の完全私服の砂川君はお医者さんには見えない。
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