恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
「今のは俺とやってみたけど、現実エクスポージャーの治療は基本的に医師とじゃなく課題として提示して自分で実践して貰う。
医院で行うのは、想像エクスポージャーでの治療だ」
「想像エクスポージャー…」
現実と想像。現実エクスポージャーとはまた違っているのだろうけど、一体どんな治療法なのだろうと首をかしげた。
「えっと、何を想像するの?」
「相澤のトラウマになっている記憶」
「…え」
砂川君のそんな言葉に思わず全身が氷のように固まる。
「事細かく鮮明にな」
砂川君にそう真剣な顔で念を押され、頭が一瞬真っ白になりかけた。
──原因となっているトラウマの記憶を回避せずに何度も思い起こして、あえてその記憶に向き合って適切に記憶を処理していく。
──辛い記憶を思い返しても今の自分が危機に晒されるわけじゃない、怖くないと感じるようにするための訓練だと思ってくれれば良い。