恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】

ふと先週のそんな砂川君の言葉が蘇る。

…何も今更驚く事じゃない。そういう治療なのだと最初の診療の時に砂川君から説明があった。

(でも、あの時の事を思い出すなんて…)

そんなの絶対に無理だときゅっと服の袖を掴む私に、砂川君が柔らかな声で言う。

「辛いだろうけど、相澤の病気を治すには必要な治療なんだ」
「…うん」

ガタガタと震える私に語りかけるような砂川君の声は優しい。声だけじゃなく、その表情も。

きっと私がPTSDでなければ、私の頭を撫でて宥めてくれていたんじゃないかと思うような、そんな優しい表情で砂川君が私を見る。

「今日はまだ取り組まないから、次回までに心の準備をしておいてくれれば良い」

それに安堵したのか、震えていた私の体はいつしか落ち着きを取り戻した。

砂川君が、「今日はここまでにしよう」と言ってパタンとカルテを閉じる。


「相澤から何か聞きたい事とかある?」
「え」
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