恋の忘れ方、怖がりな君の愛し方。【番外編追加】
案の定海里は私の後ろに隠れるように立っていた沙和に気がついた。
沙和は、友人だという贔屓目を無しにしても可愛らしい容姿をしていると思う。
あまり前に出ない大人しめの性格と、男性恐怖症のせいで自らコミュニティを狭めている事からあまり目立たないが、それでも20代後半にさしかかった今でも美少女という言葉が似合うような沙和には、実は社内でのファンが少なくなかった。
そして、海里もその中の一人だ。
「えー、こんな所で会えるとか感激だわ。俺、営業部の海里大和って言います、よろしく」
そう言って海里が沙和に距離を詰め、片手を差し出した。
「……っ」
沙和がビクッと肩をすくめたのが分かった。
沙和が一番苦手とするのは、初対面の男性だ。
(海里ってば、私あれだけ沙和は男の人が苦手だからうかつに近寄らないでって言ったのに!)
「ちょっと海里っ…」