虹色アゲハ
「もうちょっと賢くなってから出直してくる事ね」

「賢くって…
俺これでもやり手営業マンで通ってるし、策士だよ?」

「自分で言うのってどうなの?」
そう突っ込みながらも。

その実力は認めざるを得ないと、一転して面目が立たなくなる。
仮にも揚羽は、一般人相手に心を掴まれそうになり、一杯食わされたのだから。


「あと本気で出直されても困るから、ここにはもう2度と来ないで。
そしたら連絡してあげる」

「ほんとにっ?
でも連絡がなかったら、また来るから」

揚羽はあしらえない鷹巨に、ふぅと脱力すると…

「1つ教えといてあげる。
私、しつこい男は嫌いなの」

そう言ってダミーマンションのエントランスロックを解除して、その中へと立ち去った。




程なくして、その場に倫太郎が到着すると。
鷹巨の姿はもう見当たらなかったが…

今までのやり取りを聴いていた倫太郎は、ストレートに気持ちを伝えられる鷹巨を羨ましく思い。

やり切れなくなって…
無性に揚羽に会いたくなる。


〈大丈夫か?〉
とりあえずそうメッセージすると…

すぐにその本人から電話がかかってきた。
< 107 / 268 >

この作品をシェア

pagetop