虹色アゲハ
ところが翌日から、柑愛は店に来なくなった。

辞めると連絡があったらしいが…
携帯の動き見る限り、数日経っても次の店を探してる様子はなく。

塞ぎ込んでるんじゃないかと、その状態や金銭面が心配になった揚羽は…
「悔しいなら戻ってきて、あんな男見返してやりなさいよ」と、留守電でけしかけてみたものの。

なんの反応もないまま、週末を迎えた。


すると例のごとく、久保井が何事もなかったように店に現れる。

自分との勝負のためかと思った揚羽だったが…
指名されたのはなぜか、店のナンバーワンだった。


どういう事?
今度はその子をターゲットにするつもり?



次の夜、揚羽はまた久保井をその潜伏先で待ち伏せた。


「あんた、私と勝負するんじゃなかったの?」

「また待ってたんだ?健気だね。
そのキャラでそーゆうの、悪くないよ。
でも毎回こんなとこで話すのもなんだし、部屋で話そっか」

部屋で?
思わずドキリと身構える。


「あれ、怖いんだっ?
そんなんで俺と勝負出来る?」

「笑わせないでよ、誰があんたなんか。
さっさと案内しなさいよ」
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