虹色アゲハ
ナミアゲハ
『揚羽さんっ。
紹介していただいたお店、働きやすくてママも素敵な人でしたっ』

数日後、電話でそう声を弾ませる柑愛。

そのママは、予てから揚羽に引き抜きの声を掛けていて。
その店は高待遇で評判も良かったが…
1・2を争う人気店だったため。
詐欺師の揚羽は目立つのを避けて、自分は働けなかったのだ。


「そう、良かったわ。
ママの方も、いい子を紹介してくれたって喜んでたわよ。
まぁ何かあったら相談にのるから、無理せず頑張って?」

『はいっ。
色々とすみません…
本当にありがとうございました』


あれから揚羽は、久保井がナンバーワンに狙いを変えた事が別れの原因だと告げ…
柑愛との和解に漕ぎ着けていた。

久保井の策に乗るのは癪だったが…
自分の話に聞く耳を持ってもらうために、この際利用しようと踏み切ったのだ。

その結果。
久保井とはもう会いたくないと、今までの店には戻らなかったものの…
次の店の紹介には、素直に応じてくれたのだった。



それでホッと胸を撫で下ろした揚羽は…
どうせならこれも利用しようと、久保井の来店を待ちうけた。



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