虹色アゲハ
週末。
その日は田中専務が来店していて…

帰ったあとで、それを見計らったように久保井がやってきた。


「田中専務と鉢合わないようにしてるんだ?」

「そりゃあ、揚羽ちゃんを指名したら怒られちゃうからね」

人気のナンバーワンは1つの指名席にいる時間が短いため、大半の時間は代わり(ヘルプ)のホステスが着く。
そこで、どうせなら知ってるコの方がという口実で、上手く揚羽も指名にしていて…
その時間がより多く確保出来る事も、ナンバーワンを隠れ蓑にした理由の一つだった。


「それに、一緒に飲んだら独占出来なくなるし。
たぶん俺、妬いちゃうし?」

「ふぅん、嫉妬深いタイプなのね」

「かもね。
揚羽ちゃんを抱いたヤツは、苦しめたくなるくらい?」

「よくそんな取って付けた事が言えるわね」

「あ、落とすためだと思ってんだ?
さすがにそんな見え透いた嘘言わないよ。
勝負持ち掛けた理由、覚えてない?
揚羽ちゃんの事、気に入ったからって言ったじゃん」

「気に入ったくらいでそこまで嫉妬って…
よく出来た話ね」
皮肉を言って小バカに笑うと。
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