虹色アゲハ
「あんたこそバカじゃない!?
キスマーク(こんなもん)つけられたら仕事に響くじゃない!」
悔しくて感情的になっていた揚羽は…

「隠れる服着ればいいだけだし。
こうでもしなきゃ、揚羽ちゃん誰にでも股開きそうだからさ」

その瞬間、カッとなって久保井をハツってしまう。


それにより…

「…てゆうかホステスならさぁ、もっと上手くあしらえない?
そんなんでよくやってこれたよね。
なんかがっかりしたってゆうか…
もういいよ、どこに送ってけばい?」

乾いた声と冷めた口調でそう返されて…

やらかした焦燥感に襲われると同時。
2度も久保井に捨てられた気がして、胸が八つ裂かれる。




近くのコンビニで降ろしてもらった揚羽は、茫然と…
呼んだタクシーを待っていると。

不意に。


どうしよう…
どうしようっ……

もうどうしていいかわからなくなって。
疲れて、何もかも嫌になって…
ただただ涙が溢れ出す。



そうやって途方に暮れながらも…
やって来たタクシーで鷹巨のマンションを訪れると。

エントランスロックが、チャイム後すぐに解除され…

「なんで起きてるの?」
八つ当たりで思わず呟く。
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