虹色アゲハ
慌てて揚羽は、車から降りようとしたが…
歩道のガードパイプでドアが開けず。

途端、右手首を掴まれて。
同じく左手首ともども、シートに押し付けられる。


「やめてよ!」

「大丈夫、すぐに気持ち良くなるから」
そう言って久保井は、揚羽の首筋にキスを落とすと…

その唇を胸元の方に這わせていった。


「やっ…いやっ!
ほんとに訴えるわよっ!?」
必死に抵抗しながらも。

その肌は、身体は、異常なほど久保井に感じてしまっていて…
それが許せない感情と、どうにもならない感覚に、おかしくなりそうになる。


「もういやお願いっ…
お願いやめてっ!」

すると、胸元を吸っていた久保井はそれをやめて…

「そんな嫌っ?」
と小馬鹿に吹き出した。


「無理やりなんて嫌に決まってるでしょ!?」

「無理やりって…」
そこで久保井は掴む手を緩めると。

「嫌よ嫌よもなんとかって言うしさ?
自分で危険とか言っときながら、のこのこ来るぐらいだし。
2度も同じ手食うコじゃないと思ったから、てっきりOKなのかと思ったんだけど…
揚羽ちゃんって実はバカなコ?
俺じゃなかったら犯られてるよ?」
< 159 / 268 >

この作品をシェア

pagetop