虹色アゲハ
そうして揚羽は、会釈をしてマンションに入ると…

勝手口から駐車場を抜けて、裏道に止まっているタクシーに乗り込んだ。
護身用のGPSにより、倫太郎が手配したものだ。

それから別のマンションに着くと、また同じように勝手口から裏道へと抜けて、ようやく自宅のマンションに入るのだった。


倫太郎は発信機でそれを確認すると、連絡を待ちながらカップ麺を食べて…
今日はないかと風呂に入った。

出たあと、半裸のまま髪をわしゃわしゃ拭きながらリビングに入ると…


「相変わらずいい身体」

「うっわ!なんだよオマエっ…
なんでいんだよっ」
帰ったはずの揚羽に、突然声かけられて動揺する。


「GPS見てなかったの?」

「いやアンタ帰ったじゃん。
24時間見てろってか?」

「あそっか。
それより、今日泊めてくれる?」

「はあっ!?意味わかっ…」
意味がわからないと言いかけて、続きを飲み込む。

「…なんか、あったのか?」

ボタニカルカフェで揚羽の様子がおかしかったのを、盗聴器を通じて聴いていたからだ。
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