虹色アゲハ
「そういう訳だから。
目的を達成したら、あとはお前の好きにすればいい。
俺は回収とその処理が終わったら、望ともお前とも一生関わらないから」

「一生って…
オマエまさかっ」
最後という言葉と合わさって、嫌な勘が働くが。

「もう行くよ。今組織に怪しまれたら元も子もないし」
倫太郎の言葉を遮って、席を立つ仁希。

といっても、その理由は本当で。
組織の目を盗んで会っているため、長居は出来ないのだ。


「おい待てよっ」

「じゃあ頼んだぞ。
納得いかないからって、足だけは引っ張るなよ?」


ーーー
ーー


「全部、勝負をふっかけるためで…」

柑愛を利用したのも、隠れ蓑のためだけじゃなく。
勝負に持ち込むためには、結婚詐欺を装う必要があったからで。
なかなか連絡先を教えなかったのは、柑愛を惚れさせるまでの時間稼ぎだったのだ。

さらにはその結婚詐欺を知らせるために…
田中の会社のシステムを狂わせて、来店を妨害し。
揚羽が柑愛の携帯をハッキングするよう仕向けたのだった。


「勝負をふっかけたのは、組織の目を欺くためでも、あったけど…
1番の狙いは、約束を取り付けるためだったんだ。
アンタの性格なら、足洗うしかなくなるだろって」
< 243 / 268 >

この作品をシェア

pagetop