虹色アゲハ
「もうその前には洗ってたけど、2度と(詐欺師に)戻れなくなんだろ?
恨みっこなしなら、復讐も出来なくなるし。
勝負で負けたんなら、する気も失せんだろうし。
そんで全部奪ったのは、犯罪の痕跡を、微塵も残さないためで…
だから飲み屋の金は、約束に合わせて回収したけど、俺経由で返したんだ」

倫太郎は、そう真相を打ち明けたものの。
当然、仁希が罪を被った事までは言わなかった。

柑愛や田中の話もそうだが…
望が責任や負担を感じる内容や、仁希が批判される内容は、墓場まで持って行こうと決めたのだ。


「けどそれで、アンタが傷つくのは、避けらんねぇから…
だから俺が、仁希さんに頼まれて、慰めたんだ」

「どうしよう、全然止まんないっ。
ううっ、どうしようっ…」
望はそれどころじゃなく、泣きながら止血場所に体重をかけた。

「落ち着けって、大丈夫だから」
だんだん呼吸が苦しくなりながらも…
平静を装って、力なく笑いを浮かべる倫太郎。


ーーー
ーー


「ちゃんと念押したのに、なーに足引っ張ってんだ?」

「っせーな、自業自得だろ。
オマエのせいでヤケんなって、あの男とこーなったんだし」
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