虹色アゲハ
その週末。

あ、嫌気がさす匂いの根源…
例のごとく店にやって来た久保井に、そう毒づく揚羽。

もっとも、その男の匂いは抱きしめられなきゃわからないレベルだけど。
思ったと同時、その記憶に胸が潰される。


再び憎しみが込み上げながらも、なんとかやり過ごして…

時間を迎えて帰ろうとしている久保井に、お見送りの言葉をかけると。

「じゃあ来週、また電話して?」
久保井は揚羽をさらりとかわして、隣の柑愛にそう告げた。


ふぅん、シカト…
でもありがとう。
これでもう嘘つけないわよね?

久保井が毎日通ってたのは最初の一週間だけで、今は週末しか来ておらず。
その言葉から連絡先は、先週入手していた事が窺えた。

なのに柑愛から報告されてない事を考えると…
睨んだ通り、名刺の件は嘘だったと確信する。


「連絡先、聞いてたんじゃない。
その様子じゃ名刺も、ちゃんともらってるわよね?
まぁ私としては確認させてもらえばそれでいいけど…
じゃ、見せてくれる?」

「……ムリです。
誰にも教えるなって言われたんで」
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