契約結婚!一発逆転マニュアル♡
炊事洗濯掃除は主婦の仕事じゃないかと遥翔に言ったこともあるのだが、彼の答えは一般的な旦那さんの答えとは少し違っていた。

『どうしてそれが主婦の仕事なんだ?俺は主婦業といく面って言葉が嫌いなんだよ』

初めから家事はできる方がやると言っていた遥翔らしい答えではあったが、男性としては珍しい意見であった。

人生を一緒に生きていくために、これは誰の仕事だという固定観念は捨てて、協力体制を導入しよう、と遥翔は言う。

依舞稀の両親も一緒に仕事をしていたが、家事の大半は母親がやっていた。

もちろん父親が何もしていなかったわけではないのだが、やはりそれは『手伝い』という表現が正しいだろう。

地位のある人なのに、夫としてあまりにも理想的すぎる遥翔に、依舞稀は素直に甘えることにした。

遥翔との夫婦生活に無理は必要ない。

自分のできる限りのことで、遥翔をしっかりと支えていけばいいのだ。

まずはこのハイブランドのお皿をピカピカにしよう。

依舞稀は鼻歌を歌いながらスポンジを滑らせていく。

キッチンを綺麗に吹きあげると、お次はお待ちかねのワインの時間だ。

微かに聞こえてくるドライヤーの音が、もうすぐ遥翔が出てくることを教えてくれる。

依舞稀はウキウキしながら、冷蔵庫にある晩酌セットを用意した。

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