契約結婚!一発逆転マニュアル♡
一筋縄ではいかないと思っていたけれど、ここまでとは思わなかった。

いくら光星かバカであっても、こんなにハッキリと言われれば理解できるくらいの頭は持っていると思っていたのだが。

見届けるなんて言ってはいるが、簡単に見放したのはどこのどいつだと問いたい。

「光星に見届けてもらわなくて結構よ」

何を思ってそんなバカげたことを言っているのかは知らないが、彼にそんな義務はない。

「私は今、彼と結婚してよかったって心から思ってるし、ちゃんと愛してもらってる。私達はちゃんと愛し合った夫婦なの。光星に見届けてもらう必要なんてないわ」

今もこれからも、依舞稀の側にいて幸せを分かち合うのは遥翔しかいない。

遥翔だけで充分なのだ。

「もう二度と関わらないで」

依舞稀は懇願するように静かにそう言った。

光星は暫く俯いて頭の中を整理しているようだったが、やはり納得できないとでもいうように「どうしても?」と尋ねてきた。

『当たり前だ』と怒鳴りつけようと口を開いたとき。

「どうしてもだ」

と依舞稀の背後で低い声が響いた。

光星はパッと顔を上げると表情を歪ませ、そしてサッと青ざめた。

依舞稀はその反応で、自分の後ろに誰がどんな顔で立っているのかを悟ることができた。

「こんなところでなかなか面白いことをしてるじゃないか」

依舞稀の腰にするりと巻き付いてきたその手の主を間違いはずがない。

「私は全然面白くないんですけど」

深く溜め息をついてそう言うと、後ろから依舞稀を包み込んだ主、遥翔は、喉を鳴らして笑った。


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