契約結婚!一発逆転マニュアル♡
その腕の強さから、遥翔がどれほどの感情を抑えているのが伝わってる。

「俺ならもっと面白くしてやれるけど、どうする?」

本当に笑えればいいのだが願ってもないことなのだが。

きっと光星の今後の人生において、一生忘れられないほどのトラウマを植え付けるに決まっている。

「遥翔さんが介入してしまうと、面白さを超えて恐怖になるので遠慮したいです」

ただでさえ頭痛がしてきてきているというのに、これ以上の面倒事は勘弁していただきたい。

依舞稀は遥翔を宥めるかのように、回しされた腕にそっと手を置いた。

「依舞稀がそういうなら我慢してやってもいいが……。お前は俺に何か言いたいことがありそうだな」

蛇に睨まれたカエルのように後退りをしたい気持ちを、光星は必死に耐える。

「え……いや……あの……」

イケメンの鋭い眼光がこれほどまでに恐ろしいとは思ってもいなかった。

これだけの色男だ。

きっと女に不自由などしたはずはないし、なんなら今でも数人囲っているのではないだろうか。

しかし依舞稀の反応はどう説明すればいいのだろうか。

この男が現れた途端に表情は緩み、完全に安心しきっている。

自分に対する男の表情もまた然りだ。

完全に自分に対して恐ろしいまでの敵対心を剥き出しにし、顔の見えない依舞稀を見る瞳は驚くほどに愛情に溢れている気がする。

これは完全に愛し合う2人を意味する光景だ。

光星は完全に混乱した。

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