契約結婚!一発逆転マニュアル♡
「あの女の素性、調べてくれ」

唐突に遥翔がそんなことを言い出したものだから、八神は信じられないとばかりにポカンと口を開けた。

女性に対し『適当にあしらえ』とならば今まで何度も言われてきたが、調べろなど言われたことはない。

よほどあのホステスが気になるとみえる。

それならば動かないわけにはいかないじゃないか。

「かしこまりました。早急に動きます」

八神は頭を下げて遥翔にそう言った。

迅速かつ精密な仕事をこなす八神のことだ。

週末までには何かしらの情報を持ってくるに違いない。

そこで俺のモヤモヤもスッキリするはずだ。

遥翔は満足気に、自分に対して背を向け接客するホステスの真っ白な背中を見てほくそ笑んだ。

ぞくりと背中に悪寒を感じた依舞稀だったが、恐ろしくて振り返ることさえもできない。

我ながらうまく化けていると思う。

この一年で随分と夜の化粧も上手になったし、昼間の顔と夜の顔とでは自分も驚くほどの変身ぶりだ。

目立つ行動をとってしまったが、上手く誤魔化せたし大丈夫だ。

きっと上手くいく。

お願いだから早く帰って。

そう切実に願いながら依舞稀は体を強張らせた。

今日のことを無かったことにしたい依舞稀と、今日のことを全て暴きたい遥翔。

そんな二人が再び対峙することになるまでに二日とかからなかった……。
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