出逢いがしらに恋をして
「わ、美味しそう! いただきます」
そう言いながら、いつもの癖で手を合わせた。

 すると宮沢さんが「お行儀がいいんだね」と、
 決してバカにした口調ではなく、とても素直な、いかにも感心した調子で言った。

「子どもみたいですよね。でも、小さなころから親に口うるさく言われていたので、
もう癖になっていて」

「いや、見ていてとても気持ちがいいよ。
食べ物への感謝の気持ちが自然にあふれていて」

「わたし、食べることがとっても好きで。とくに甘いものに目がないんです。
一口食べたらどんなストレスも一瞬で吹っ飛びます」

「じゃあ、これ以上お預けは可哀そうだな。早く食べようか」

「はいっ」

 美しい薄緑色のケーキにフォークを入れ、一口食べた。

「わ、おいしい!」

 思わず顔がほころぶ。

 そんなわたしを見つめて、宮沢さんはにっこり微笑んだ。

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