出逢いがしらに恋をして
「それに」と沙織は肘でわたしをつつきながら

「願ってもないチャンスじゃん。頑張ってマネージャーをおとさないと」

「それは無理だと思うけど……」

「そんな弱気でどうする。好きなんだったら、どんどん押さなきゃ。
ためらうことないでしょう」

そう言って、バンと背中を叩かれた。

「はーい。鬼コーチ」

 おとすほうはともかくとして、

 そうだよね。引き受けた以上、今さら、後悔しても仕方がない。

 宮沢さんの迷惑にならないように全力を出すことだけ考えよう。

「ありがとう、沙織。なんか話したら気持ちが落ち着いた」

「良かった。でも、真面目な話、ちょっと羨ましくもあるかな。
スキルアップの機会だもんね。頑張ってよ」


 そうだ。とにかく頑張るしかない。
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