レーセル帝国物語 皇女リディアはタメグチ近衛兵に恋しています。
「――そういや,十日後にスラバットの王子が国賓として来るらしいな」
「ああ,そうだけど……」
ジョンに引き留められたデニスは,「なんでお前が知っているのか」と訊いた。
すると,イヴァン陛下のお供をしていた先輩兵士から聞いたのだと,答えが返る。
「その王子と姫様との,縁談の話も出てるっていうじゃないか。お前,大丈夫なのか?」
「大丈夫だって。リディアは絶対,オレのこと裏切らないからさ。ちゃんとオレが守るって約束したし」
「だったらいいけどな。ま,せいぜい褐色の肌の王子に姫様を()られないように気をつけろよ。同じ色の肌の騎士(ナイト)さん?」
「うるせえ!余計なお世話だっつうの!」
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