俺様専務に目をつけられました。

5.

~享祐side~

東郷享祐29歳。この東郷商事の跡取り息子だ。

小さな頃から俺は東郷商事を受け継ぐべく色々と努力し頑張ってきた。おかげで学生時代からの人脈や信頼もこの年にしては厚い方だと思う。自分で言うのもなんだが顔も整っているため女性関係も困る事は無かった。



ある日、一息付こうとカフェへ行くためエレベーターに乗り込んだ。すると二階下のフロアから重そうな箱を抱えた子が乗ってきた。俺の肩ほどまでしかない小さな子、こんな重い箱を運ばせるって総務は何を考えてるんだと飽きれながら荷物を俺が持つと『私持てますから大丈夫です。行先四階じゃないですよね。』と自分が持つと言いはった。

俺が専務だと知ってて恐縮しているのかと思ったが、海外事業部の奴が『専務』と呼んだことで俺が専務であると初めて知ったようだった。

荷物を置き直ぐに立ち去った俺を追いかけてきた彼女、今までの女性たちのように媚を売るか色目を使うのかと思いきや、ただ『ありがとうございました。』と本当に礼を言うだけの為に追いかけて来ただけだった。俺は今までに会った事のない反応に『ああ』としか返せなかった。
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