俺様専務に目をつけられました。
~享祐side~

今日は三栗晴香との顔合わせ。祖父と共に料亭へ着くと『お連れ様がお待ちです。』と女将が彼女の待つ部屋へ案内してくれた。
現れた俺を見た彼女は驚き目を見開いていた。まだ何の会食なのか知らないのだろう。食事が始まっても落ち着かない様子の彼女をよそに、祖父たちは機嫌よく食事を楽しんでいる。

こんなにも同様してる孫に気を使ってやれよ・・・。と自分の我儘でこの状況になっているのだが彼女に同情を覚えた。


祖父たちは本来なら自分の子供たちを結婚させたかったらしい。しかし両家とも男児しか生まれず諦めたとか。まさか孫たちが結婚するとは思っていなかったので、この話が出て二人とも大いに喜び俺にとても協力的だった。だから今日、ギリギリまで黙ってて欲しいと言う俺の我儘も叶えられた。

「いやー、晴ちゃんが享祐との結婚を受けてくれてホントに嬉しいよ。なあ茂ちゃん。」

爺さんの言葉で初めてこの席が俺たちの顔合わせの席だと知った彼女の戸惑いは半端なかった。
そらそうか、俺には願ったり叶ったりの提案でも、彼女にとっては寝耳に水。

「二人で話たいから先に出るわ。行こう。」

彼女を連れやって来たのは六甲山ガーデンテラス。
とりあえず二人で話をしたかったから何処でもよかった。
今まで俺が付き合ってきた女性たちなら、ここへ来ようとは思わなかっただろう。街中のカフェかホテルのラウンジか。
助手席に座った彼女を見てなぜかここに連れて来たくなった。
彼女は、三栗晴香はカフェなんかじゃなくこういう所の方が心を開いてくれそうな気がしたから。
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