俺様専務に目をつけられました。
四国に行ってから数日後、また今日も専務からの突然のお誘い電話。

「晴香、明日の夕方から出かけるぞ。花火見に行くぞ。」

「花火?どこのですか?」

「神戸。三時くらいに迎えに行くから。明日は車じゃなくて電車な。」

珍しい。どこに行くか先に聞いたのは初めてかも。

「じゃあ大阪で待ち合わせにしましょう。享くんが電車で往復するの大変ですし、四時に大阪でいいですか?」

「ああ。」

あの日以来プライベートでは『享くん』と呼ぶようになった。専務は自分から名前を呼べと言ったわりに『享くん』と私が呼ぶと今だ一瞬止まってしまう。今まで女性にそんな呼ばれ方したこと無いんだろうな。
< 30 / 91 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop