俺様専務に目をつけられました。

17.

~享祐side~

正月早々、親戚たちや取引先の新年の挨拶回りも終え晴香と出かけようと思っていたのに親父に呼び出されてしまった。晴香に断りを入れ実家に行くと親父が縁談話を持ちかけてきた。

晴香と言う彼女がいる事を知りながら、まるで彼女の存在がないかのような態度にムカついた。

「親父、彼女がいる事忘れてないか?」

「忘れてないよ。どうせ今までと同じだろ?」

今回も今まで俺が付き合ってきた女たちと同じだろと言いたいようだ。親父は彼女が爺さんの親友の孫娘であると知っているのに俺がそんな軽い気持ちで付き合ってると思っていたのか?

「その子は普通の家の子だろ?享祐と一緒になって玉の輿でも狙ってるのか?」

「一範!お前、晴ちゃんの事そんなふうに見てたのか!」

珍しく爺さんが声を荒げた。
俺も親父の言葉に失望を覚えた。自分の父親がまさかそんな考えの人間だったなて思いもしなかった。
母は小さな会社だが社長の娘だった。社を訪問した時にお茶を出してくれた母に父は一目ぼれし、半年かけて口説き落としたと小さな頃から何度も聞かされた。だから恋愛結婚に反対されるなんて思ってもいなかった。

その後も三人で話をしたが平行線のまま、親父は頑なだった。

「とりあえず俺はその縁談受けないからな。断ってくれ。」

横でずっと話を聞いていた母親は一言も発さない。親父にそう言い切り実家を後にした。
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