俺様専務に目をつけられました。
晴香パワーをチャージし週明けからまた忙しい毎日をこなしていた。出張も多く、なかなか時間が出来ない。毎日メッセージか電話で連絡は取っているものの、癒しが全く無いままストレスだけが溜まる一方だ。

二月に入ってからは親父が俺の縁談を勝手に進めているような話まで出てきた。しかも相手は秘書課の佐伯らしい。俺は知らされていなかったが佐伯物産の娘だとか。噂も次から次へと新しいものが出て来ているようだし、晴香の耳にも入っているだろ。

いつもの様に日付が変わる少し前に家に帰るとリビングのテーブルにチョコとプレゼント、そして手紙が置いてあった。急いで中を確認すると俺の体調を心配する言葉ばかりだった。
もう寝てるかもしれない、そう思ったがどうしても晴香の声が聞きたくなった。

「晴香、チョコとプレゼントありがと。来るなら言ってくれればいいのに。」

「早く帰れたんですか?」

痛い所を付かれた。

「ムリかな・・・。」

「でしょ?今日中に渡したかっただけなんで、行くなら享くんがゆっくり出来る時に行きます。」

晴香はいつも自分の事より俺の事を気にかけてくれる。少し前までは我が儘を言わないのは俺の事をそこまで好きになって無いからだと勘違いしてた。でも今ではそれが晴香の愛情だと分かり素直に嬉しく思えるようになった。

「ごめん。来月もヨーロッパに行くことになってる。・・・あーっ!、また晴香に会えない日が続くのか。近いうちに時間作る!圭吾にムリでも作れって言うから!」


そしてその二日後の夜、数時間だけだが時間が出来た。もちろん晴香に会いに行った。家の近所だからと恥ずかしがる晴香を思いっきり抱きしめた。
もっといい所に連れて行きたかったが時間もなく近所のファミレスで食事をした。それでも晴香と共に食べる食事は美味しく、食事をしているという実感を久々に味わえた。

これでまた暫く頑張れそうだ。
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