俺様専務に目をつけられました。

翌日の日曜日、マンションにおじいちゃんズがやって来て証人欄に署名してもらい午後から役所に提出に行った。今日から私も東郷晴香だ。





週が明け今日から仕事に復帰する。
専務と一緒に出社す、そのまま専務室に行く。暫くすると総務部長と課長がやって来た。

「お呼びでしょうか。」

「朝の忙しい時間にすまない。今日から晴香が仕事に復帰するので少し話をと思って。」

エレベーターの事故で私たちの関係を何となく察していた二人だが、堂々と私を名前で呼び話す専務に対し困惑を隠せないようだった。そりゃそうだろう、休み前まで佐伯さんがパーティーで婚約発表をすると公言していたらしいから。

『昨日、晴香と入籍を済ませた。』と専務が話始めると二人とも目を見開いた。

「あー、佐伯との噂と言ってもアイツが一人勝手に言いまわってたみたいだが、その話は佐伯の嘘だ。俺はずっと晴香と付き合ってたからな。」

「そ、そうなんですね。」

「それで晴香だが職場に今日から復帰させるが、お腹に子供がいる。」

「「えっ！」」

「話、進めていいか？最近の体調不良もそのためだ。俺との事で何かとやりにくいとは思うがよろしく頼む。」

専務がお願いすると二人は恐縮がっていた。



部長と課長と共に総務課へ戻ると一斉にみんなが私に注目した。たった三日前の出来事が休み明け初日だと言うのにも広まっているようだった。

「えー、そのまま聞いてくれ。三栗さん、いや東郷さん。」

「部長、三栗でこれからもお願いします。」

部長が名前を言い直したため、そこらじゅうで『えっ、ホントに？』とか『東郷！』とざわめきがおこる。

「そうか？三栗さんが今日から復帰する。みんなも色々と聞いてるかもしれんが憶測だけで言わないように。今までと何ら変わらずやってくれ。」

「皆さん、ずっとお休みさせて頂きご迷惑をおかけしました。」






そして嘘をついていた佐伯さんの姿が無かった。
お昼休み、専務室に呼ばれ行った時に聞くと辞めたと言う。

「そりゃ、いれないでしょ。あんなけど派手にやったらね。」

と高杉さんが言っていた。その場にいなかったがどんな状況だったのだろう。気にはなったが終わった事だ嫌な事まで思いだしそうなので詳しく聞くのをやめた。