夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

だって、私が知っているこの人は……。
リオン様に媚びるようなのに息子であるヴァロン様には厳しくて、そして昔私や他人には挨拶すら口にせず、いつも睨むような視線を向けていた。
人とのコミュニケーションが明らかに欠落していて、まともに話せる人ではなかった筈だ。
その人が、しっかりと話し、私の目を見て、頼み事をしている。
そればかりか……。

「貴女は今、spellbind(スペルバインド)に縛られているでしょう?」

「!っ……」

「私が、その呪縛を解きます」

「っな、……」

「私に手を貸して下さる。
そうお約束頂けるのなら、呪縛を解き、そして貴女の知りたい全てをお話する事を……私も約束します」

アンナ様が私に、強い鋭い眼差しを向けた。
その瞳に見つめられて、私は良い意味で、どうでも良くなった。

何故この人が、私にspellbind(スペルバインド)がかかっている事が分かったのか。
何故この人に、spellbind(スペルバインド)を解く能力(ちから)があるのか……。

嘘偽りない、と私に向ける眼差しが告げていたのだ。
この方は"我々がお仕えする一族の方なのだ"と。
気付けば私は、アンナ様に「かしこまりました」と(ひざまず)いていた。
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