夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

遥か昔の話。
この世界には、地上にあり人間が住む人間界と空高く天上にある天界が存在しました。
天界に住むのは、様々な神々とそれを中心として生きるたくさんの天使達。

人間界の者と天界の者が関わる事は、禁忌(タブー)


しかし、ある時1人の天使が人間界に興味を持ち、天界を抜け、地上へ舞い降りた。
そこで天使が出逢ったのは、美しい歌声を持つ1人の少女。長い黒髪に黒い瞳の娘だった。

『なんて美しいんだ……!!』

天使に勝る歌声。天界の者には絶対にあり得ないその艶やかな漆黒の姿に、天使はあっという間に心を奪われてしまった。

人間と天使が関わる事は……。ましてや、交わる事などあってはならないと分かっていた。
だが、恋に堕ちた天使は、もう引き返す事など出来なかった。

……。

やがて、
自分が天界の者である事を隠し、人間界に一生身を置く事を決めた天使は娘と結ばれた。
そして、2人の間には子供が生まれる。


?……え?
こんな話、この夢の言葉の話には関係ないって?
いやいや、それが関係あるんだ。
だから、どうか最後まで聞いてほしい。


さて、話を戻そう。
天使と人間。二人の間に産まれた子には、不思議な力が宿っていた。
人の過去と、未来をみる力。
そして、見る人を惹きつけて和ませる不思議な力。

天使の血を分けた子はその不思議な力でたくさんの人を助け、たくさんの人達から愛される存在となった。


ーーしかし。
それから年月を重ね、人の血と交わる度に……。つまり、天使の一族が代を重ねるにつれて、不思議な力を持って産まれてくる子供はごく稀となっていった。
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