夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
しかし。感情の勢いに任せて話し終えると、部屋の中がシーンッと静まり返る。
スズカは何も答えない。ただ、また黙ってオレに抱き締められているだけだ。
……。
ちょっと待て!オレ、今何を言った……ッ?!
相手の返答がない様子に、何か大事な部分が抜けていたのではないか?と不安が襲ってくる。
オレの気持ち、伝わらなかったのか?
もう一度ストレートに「愛してる」とか、言ったほうがいいのかっ……?!
……そうか!早口すぎて伝わらなかったのかも知れない!
沈黙の間に耐え切れなくて、ぐるぐると色んな想いが頭を巡った。
その末。ここはもう一度仕切り直そうと、心を落ち着けて当初の予定通り行こうと身体を少し離し、彼女の両肩を掴んで見つめようとした。
……けれど。
飾らない心を曝け出せた、その時ーー。
「ーーアラン様」
「!!ッーー……」
スズカの濡れた瞳と視線が重なった時。
まるで彼女の今の感情がそのままオレに移ったように、涙が溢れた。
それは、オレ達がようやく同じスタートラインに立てた瞬間ーー。
……ああ、そっか。
これが、ようやく誰かと同じ景色を見られたって事なんだ。
そう感じて、暖かくなる心。
そしたら言葉にされなくても、相手の心が分かったような気がした。
そしてきっと、オレの気持ちも彼女に……。