夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

「……だから、いいか?次来る時は、アカリと子供達を一緒に連れて来ても」

驚きで呆然としていると、問い掛けながらヴァロンが微笑む。

本当に、夫婦揃って……。
ううん。家族揃って、お人好しなのね。

暖かい心に触れて、不安だった未来に光が見える。
家族に、仕事。これまでそこで居場所を失くしたら生きていけないと思っていた。
でも、今……。何故だか、大丈夫だと思えるの。

「ええ、勿論だわ!」

「良かった、喜ぶよ」

わたくしが笑顔で返事をすると、ヴァロンの笑顔もより一層優しく見えた。


レノアーノ。
いつか貴女がもう少し大きくなったら、話してあげたいわ。
どんなに金持ちの家に生まれても、何不自由のない暮らしがあっても得られない、とても大切なものがこの世界にはたくさんある事。身分も、血の繋がりも、その大切なものの前では関係なくて、平等なのよ。
お母さんがそれを見付けたのは大人になってからで、残念ながらそれを教えてくれた人は運命の相手ではなかった。

貴女にも絶対に見付けて欲しい。
貴女にとっての大切なものを教えてくれる、運命の人を。
そして願わくば、その人と貴女が幸せになってくれますように……、……。

番外編ミネア物語-終わり-
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