夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】

2月上旬ーー。
まだまだ春には遠いが、この日はとても天気が良かった。
私が勤めているアラン様のお(やしき)は、今日の為に数日前からバタバタと大忙し。

「驚いたわよね〜!」

「ね〜!まさか、あのアラン様がご結婚なさるなんて!」

突然訪れたビックニュースに、私達使用人達は未だに驚きを隠せない。

そう、今日は私達の主人であるアラン様のご結婚相手がこちらへいらっしゃる日。
今までアラン様がご帰宅される際も、お客様を連れて来られる際も忙しく緊張したが、そんな日々なんて比べものにならないくらい、私達は恐縮していた。

何故ならお相手は、あのアラン様が選んだ方ですもの……。
確かに最近では私達使用人に対する扱いも、女性関係の噂も大人しくなってはきていたけれど……。
きっとこの(やしき)にとって、また何か大きな影響をもたらすのではないか?と、私達は心配でならなかった。

しかも、私はその奥様のお世話役を任せられてしまったのだ。
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