夢の言葉と約束の翼(下)【夢の言葉続編⑦】
約一年間滞在された後、マオ様は一度愛する方の元に戻られると言ってこの邸を去って行った。
けれど、それから半年くらい経った頃だっただろうか。病気を患ったマオ様がシャルマ様のお邸に居ると聞いて、外国で手術を受けた後に再び戻って来て……。その際、闘病生活を支えてくれたというミネア様との婚約が噂されるようになった。
そして現在。去年の終わりにミネア様のご懐妊が明らかになり、マオ様は義父になられるハンク様の元で仕事を手伝っていると聞いている。
けれど、私にはどこか腑に落ちなかった。
私は、マオ様を知っている。
上手く言えないが私の知る限り、マオ様がミネア様を選ぶとは思えなくて……。
あのお二人が並んでいる姿が想像出来ない、と言うか……。
そう。
最後、別れの日にマオ様が私に言った言葉。
『待っててくれてる人がいる。
俺はもう……彼女以外、愛せない』
『夢を……。
俺の夢を叶えられる、唯一の人……です』
そう言った時のマオ様の言葉と表情を思い出すと、私の中に浮かぶのはミネア様ではなく別の女性。