バーテンダーの貴方と。
「…ゆう。あのね」

わかってる。だめだって。だめだって、誰よりも何よりも自分がわかってるんだ。だから。

「俺には彼女がいてさ」

ごめんなさい。やめて。ああ。これまでの関係が。もう会えない。へんなやつだって、思われた。気持ち悪いって。

「でもゆうは、そんな俺でも好きって言ってくれたんだよね。まず、ありがとう。でも」

「でも、ごめんね。ああ、ちがう、嫌いとかじゃないんだ。けど、俺、分かんないんだ。どうしたらいいか。だって俺もゆうのことすきだもん」

「でも、俺らさ、カップルにはなれないじゃん。だって俺、彼女のことすきで、別れるとか考えてないから。でもそれはゆうが彼女より下、劣ってるとかではないよ。ゆうのことはすき、彼女もすき。ってこと。同じくらい好きだよ。…付き合えないだけで。というか、付き合う必要ある?」

え。

ここまでを泣きじゃくりながら聞いていた僕だったが、はたと我に返った。付き合う必要…それは。

「付き合う必要はあります…だって僕は貴方を誰のものにもしたくないし、一緒にもっと過したい、からだも、重ねて、」

「なるほど。意外とゆう、独占欲つよいんだねえ。でも、大丈夫だよ?俺、ゆうのことすきだから、どこにも行かないし、これからもできる範囲で、一緒に過ごすし、いつもみたいに。これじゃだめかな。」

「でも、でも、」

「あのね、ゆう。大丈夫。俺はゆうから離れません。彼女がいるのは勘弁してね、けどちゃあんとすきだよ。それに、付き合うよりもっと楽しいと思わない?」

「…?」

「だって、僕らしかこの関係を知らないんだよ?僕らだけの秘密。これまで通り過ごすけど、性行為とかカップルのあれこれとかなくても、心は結ばれている。素敵じゃない?なんて。都合よく言ってるだけって思われるかもしれないけど、ほんとに俺はそう思うよ。すきだよ、ゆう」

ああ。ちがうんだと、僕は思った。
僕の価値観と五十嵐さんの価値観。まるで違うと。好きだと言ってくれるのは嬉しい、天まで登るくらい。でも、ちがう、どれだけ離れないっていってくれても僕は。

「証がほしいんです、五十嵐さん…付き合って、デートして、セックスして…そんな毎日を…貴方と過ごしたかった…けど違うんです、価値観が、僕と五十嵐さんでは、合わない…そりゃあ僕だって4年半貴方を好きですけど、でも違うんです…!僕は…貴方と付き合いたかった…」

「ゆう…」

「それが今日、無理って、分かりました、ごめんなさい、五十嵐さん」

「まってゆう。じゃあ俺のこの気持ちは?ゆうのこと好きってきもちはどうしたらいいの?」

「僕も今日で捨てます、4年半の気持ち、ぜんぶ、だから、五十嵐さんもー…」

「ん?!」

そっとキスをした。つめたい、唇に。

「これで…おわり」

全てに終止符を。

END
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