諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「はっ?」

「少し考えたいことがあって。勝手を言ってすみません」

 勘の良い彼に悟られないように、できるだけ平坦な声で告げた。

「どれくらいだ」

「また連絡します」

 私はうつむいたまま答える。理人さんと目を合わすと、必死に押さえ込んでいる感情がすべて溢れ出してしまいそうだった。

「……わかった。じゃあな」

 背筋を綺麗に伸ばした理人さんが、私に背中を向ける。

 本当は行かないでほしい。離れたくない。

 私は心の中で叫ぶけれど、当然理人さんへは届くはずもなかった。
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