諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「理人さん……!」

 気づくと、私は思わず呼び留めていた。おもむろにこちらを振り返った彼の髪がふわりと揺れて、意志の強そうな大きなアーモンド型の瞳が私を捉える。

「送ってくれてありがとうございました。……じゃあ、また」

「あぁ」

 そう言った理人さんは、一瞬口もとに薄い笑みを見せた。再びすぐにドアの方へ向き直った彼は、あっという間にリビングから出ていってしまう。

 理人さんの姿が見えなくなると、私は力尽きたようにその場に座り込んだ。

 諦めるなんて無理だ。好きで、好きで、愛おしくて堪らない。ずっとそばにいたかった。

 でも、会社の未来がかかっている。私の選択で、父や母、その他にも大勢の人の運命が変わるのだ。
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