諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~

 冬の風が夜の街で白い牙をむく。

 風をさえぎるものが少ない公園で、私はベンチに座って理人さんが来るのを待っていた。

 ジャリ、と砂を踏みしめるような足音が耳に届いて、私は縮こまらせていた身体をもとに戻す。

「理人さん」

 仕事終わりでスーツ姿の彼が姿を現した。久しぶりに理人さんを見た私は、やはり心臓がときめくのを感じる。

 ――父と話をしてから、二週間ほどが経っていた。

 あれ以来、理人さんから連絡があっても会わなかった私は、昨日、【仕事が終わったら、前にサンドイッチを食べた公園に来てください】とメッセージを送っておいた。

 スーツのポケットから缶コーヒーをふたつ取り出した彼が、向かいのベンチに腰を下ろした。
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