諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「り、理人さん!? ……こんばんは」

 自分で掛けておきながら、私は驚いて反射的にベッドから立ち上がった。

 理人さんだ……。

 つい一週間前に会ったばかりだというのに、声を聞くだけで心が震える。

 いつもながら愛想のない理人さんがすぐに『なんの用だ』と尋ねてくるが、私もかまわず問い掛ける。

「今、家ですか?」

『さっき帰ったところだ』

 もう二十二時なのに、帰って来たばっかりだったんだ。

「お疲れ様です」

 私が言うと、理人さんが、

『どうせ今日も用なんかないんだろ』

 と電話越しに大きくため息をついたのが聞こえてきた。
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