諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
 私は呆然とする。夜の底に落ちていくような気分だった。

 理人さん、今日を最後にするつもりで、私のお願いを聞いてくれたのかな。私と会うたびに、ずっとあんな疑問を抱いていたの?

 目新しい鮮やかな思い出までもが、深い悲しみに覆われていく。

 あなたのことが本気で好きなんです。どうすれば、この想いが本物だと証明できるのだろう。今すぐ好きになってなんて言わない。でも、私の心だけは信じてほしい。

『お前のままごとに付き合わされるのは御免だ』

 先ほどの理人さんの言葉が、頭の中で木霊(こだま)していた。
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